霊能者ヴォイス

今回のお話は、女優Nさんのお話です。

その昔(?)私が彼女にお会いしたきっかけは<ご依頼>ではなく、ある仕事をご一緒する事になった事でした。勿論初対面ですし、私は霊能者としてその場にいたわけではありません。3日間の日程で東北のある県に滞在する事になっていたのですが、私の仕事は二日目までで、1泊で帰京する事にしていました。

ところが、帰る寸前に列車事故が起きてしまい思わぬ足止めを食らう事になってしまったのです。時間的にも車や、飛行機と言うことも無理で、復旧の見込みが立たない状況の中、もう一泊・・と言う事になってしまいました。ところがここでまた問題が発生してしまったのです。

ホテルに空き部屋がない・・・!!

観光地から離れたそのあたりには私たちが滞在しているホテルしか宿泊施設もなく、ぎりぎりの状態で予約を取っているそのホテルは(と言うか旅館)予備の部屋もなく1泊予定の私に2泊目の部屋はなかったのです。男性のスタッフの部屋も無理ですし・・

すると、Nさんが「私の部屋にどうぞ」とおっしゃってくれたのです。しかし、Nさんは実力派の当時30代の有名女優・・マネージャーや付き人も同室ではないのです。
申し訳ないので、「Nさんのマネージャーさんのお部屋にご一緒させて頂きたいのですが・・」と言いますと、「いいの!私の部屋に来て!」と強い口調で言うのです。スタッフとも話し合い、「Nさんがああ言ってますし・・」と言う事で、ご一緒させて頂く事にしました。

仕事を終えたNさんに付いてお部屋に向かいました。キーを開けて中に・・私も続きました。そのホテルで一番大きな良い部屋です。

「本当にいいのかしら?私がお邪魔して・・」などと思いつつ、メインの部屋に入ると・・!
私のアンテナがピン!と立ちました。(あれ・・)視てみましたが部屋には何もいませんし、何も感じません。でも何かが・・。

私が霊視をする上で使い分けているものに護る力というものがあります。
守護の他に眷属の様な形で私を護ってくれる力が私にはあるのですが、そのうちの一人が私の前にすっと立ち先導する様にまた何かから守る様な体制をとっています。(やっぱり言葉で表現するのは難しい・・)
通常は私の後ろに守護する形でついているのですが、前に出てくると言うのは余程、何か警戒が必要な時なのです。でも部屋には問題ないようです。(なんだろうか・・でも何かある!)
今回、前に出る形で私を護ってくれているのは、小さい時から霊的な事で体調を崩した時に悪い方に引っ張られないよう体と命を護ってくれている者です。私にはおかっぱの幼いお姫様の形で見えるのですが・・。
ちなみに桜姫と呼んでいますが・・。

警戒をよそに、取りあえずは何も起こりませんでした。

その後、食事を皆で取り(私の分もありました・笑)温泉に入り、Nさんと部屋に戻りました。
もうお布団がひかれていて、少し早いが、後は寝るのみです。明日には電車も復旧しているはずです。Nさんは、一通りのお肌のお手入れを終え、私の方を見ました。すっぴんでも本当に綺麗で圧倒されてしまいそうでした。
「今日はありがとうございます。」私が言うと、彼女はこう言うのです。
「ごめんなさいね・・今日貴方が帰れなかったのは私のせいだと思うの」と切り出したのです。
あっけに取られている私に、更に続けて
「突然、変な事言う様で・・でもあなた何か特別な力のある子なのでしょう?」Nさんと私は10歳程の歳の差です。私が黙っていると
「とにかく、私の話を最後まで聞いてもらいたいの」と前置きして話し出しました。
その内容は、彼女の実兄の事から始まりました・・。

その2年前に新聞でも大きく取り扱われた海外での列車事故がありました。その列車には日本人観光客が多く乗り合わせており、多数の死者を出す大惨事でした。Nさんの実兄は添乗員をなさっていて、その事故で亡くなったお一人でした。
彼には妻とまだ幼い男の子がいたのです。とは言え、同じ事故の被害者でも<添乗員>と言う立場上、その後、他の被害者のご家族からの風当たりもあり、また最愛の夫の早すぎる突然の死・・妻、つまりNさんの義姉は精神的に相当参ってしまったとの事でした。
実兄が亡くなって3ヶ月を過ぎた頃から、この親子に異変が起こり出したそうです。子供、甥っ子が、三輪車から転び落ち、後少しの所で失明!と言う位置に怪我を負ったり、茶碗を落としてその破片で何針か縫う程の怪我をしてしまったり、夜鳴きをしたり、パパが来たと言ったり・・。
とにかく次から次へと・・。

ある時、義姉がNさんにこう言ったのです。「あの人が(夫)があんな別れ方、亡くなり方をしたので、きっと寂しくて、この子を連れて行こうとしているのかも・・」と・・。
Nさんはこんな事も打ち明けてくれました。「私は一生結婚をするつもりはないの。この仕事を続けていく事だけが全て・・。恋人はいるのよ。でも結婚とかではないの。子供も持たないつもり・・だから甥っ子は私にとって本当に大切な存在なの。義姉と子供の生活は兄に代わって私がどんな事をしても守るつもり。色々あったから義姉が参ってしまうのは仕方ない・・そう思っていた。神経質になっているのかもとも・・。でも甥っ子の怪我が続き、兄が寂しがって連れて行くなんて・・そんな事が起きているなんて・・」
それを聞いたNさんは紹介である霊能者に視て貰う事にしたそうです。
その結果、こう言われたそうです。
「元々、家系に水子がいて、その水子達がかわいがられている子供(甥っ子)に焼きもちと恨みを持ち、苦しめる為に事故でお父さんの命を持っていた。成仏出来ないお父さんは、水子と一緒にいて、今度は子供を連れて行こうとしている。ご供養をしないと大変な事になる。このご供養は貴方(Nさん)がしなければならない役目である」と、簡単に言えばそういう内容のことだったそうです。
その霊能者の方は道場と言うかそれなりに団体を持っていて、有名な方なのだそうです。

その日から、Nさんは大変な毎日を送る事になりました。そのご供養の仕方とは、毎日朝夜、頂いたお札を前にお経を決められた回数読み上げ(これが又凄い量)、指定された入れ物にお茶と、ミルクを入れ供え・・というものなのですが・・。
Nさんは言いました。「仕事柄、ロケとかも多いし、時間も不規則・・その中で毎日続けるのにはどうしても限界が来てしまう・・でも何としても甥っ子は守りたいの。」そして、少し前に、そのお札に向かって、「毎日はどうしても無理があります。どうしてもの時はお休みしていいでしょうか」と言ったのだそうです。

すると、翌日、飲み物を入れる器が割れていて、慌てて、道場に連絡すると、「途中で止めるなんて思うからです。もし、出来ないのならこちらでこれからやりますのでそれでも良いですよ。」と言われ、これまで以上の料金(お布施)を言われたのだそうです。(この金額がまた超!桁違い!)

ここまで聞いて、私は驚いてしまいました。Nさんは女優という仕事をしながらも何と、1年半以上、朝夕それをしていたのですから。どこに行くにもご供養セット一式を持ち歩き、ミルクを買い、続けていたのです。深夜のロケもあります。徹夜の時も・・。台本も覚えなくてはいけませんし、お付き合いだってあります。それでも、一日2回。並大抵の事ではありません。
Nさんはとても悩み、苦みました。確かに普通の方では無理ですが、Nさんは、その金額を払うことが出来なくもありませんし、そうすれば毎日の供養はなくなるのです。
でもふっと思ったそうです。本当にそれで良いのかと。そして、写真の実兄に問いかけました。
「お兄さんは、どこに居るの?もう疲れたの。助けて」と。精神的にもぎりぎりだったのでしょう。

その夜、夢に実兄と、亡くなった祖母が出てきて、言ったそうです。
「3日後の仕事先に女の子が来るから。その子に俺の事を話してくれ。ごめんな・・ごめんな・・」何回も謝ったそうです。泣きながらNさんも目が覚めたと言っていました。その3日後の仕事が今回の仕事だったと言う訳です。
しかし、個人的に話す機会も時間もないまま、私は帰るはずだったのですが・・。こうして、話をする事になっています。全てを聞き、私はいくつか、尋ねました。そのご供養はいつまでと言われているのか、その後供養セットは今日も持っているのか等・・。 供養に期限はありませんでした。代々の水子の量は凄くて言い切れないとの事。そして、お札等も持ってきていると(ちなみに昨日も今日の朝も行っていたと)。
亡くなったお兄様の気配は話の最初から感じていましたが、何かに阻まれて来れないという感じです。

ここまでで、もう充分、私には事の次第が判っていました。後は出来る事からするのみです。
夜ということもあり、「お札等は全て私が責任持って処理しますから預けてください」バックから出てきたそれらを受け取った瞬間、鳥肌を通り越し、倒れそうでした。
どうして、守護が前に構えていたかも良く分かりました。ものすごい念です。それなり以上に力がある方、団体なのでしょう。無防備だったら本当に命とられても仕方ないという感じでした。Nさんにはもうご供養はしなくていいですよ。信じてください。と言いました。 いくつかのその時可能な処理をして、色々、お話もして、休みました。
翌日、私たちは別れましたが、2ヵ月後時間を作り、会いました。その時には私の方も全て終わっていました。
Nさんはいつもにも増して晴れ晴れとお綺麗で・・。

その後、毎日の様に掛かってきていた道場からの電話もなぜかなくなった事。甥っ子さんも元気すぎて困っている事。義姉も元気に過ごしている事。何よりNさんが更に良い仕事を良いコンディションで行えている事。嬉しい報告ばかりです。私からは、お兄様のメッセージを伝えました。
そうです。あの時はお札等が反対の力で働いていて、こちらに近づけなかったのです。でもそれがなくなり、私のところにいらっしゃり、伝えてほしいと頼まれたお言葉です。

「家族の事をいつも助けてくれてありがとう。事故の瞬間胸が痛くて苦しくて・・何が何だかわからなかった。痛かった・・でも今はもう大丈夫。これからも見守っていくから、子供たちを頼むよ。・・」

こういう内容です。それを聞いたNさんは泣き出しました。聞けば、死因は胸を強打してしかも、ガラスが刺さって・・そんな状態で、即死とは行かなかったのだそうです。
それから水子が原因の事故でもなかったし、ましてお兄様は子供を連れていこうなんて思っていなかった事。甥っ子の事故は、やはり大好きなパパを失い、不安定な精神状態からの不注意(無理もありません)ママを心配する気持ちも重なり、ちょっと危ない事になってしまったのです。でも、護りが働き結果、大事には至っていませんし・・。パパが来た!と言ったのは本当に感じた時も多少ありますが、ママを喜ばせようとして言った事。それらを伝えました。
最後はNさんも「でも、不思議ね。夢の通りになるなんて!」と笑顔で言い、私もまさか仕事先で・・と感じながら・・。

Nさんは今も活躍されています、言ったように結婚はされていませんが(笑)私も今では、霊能者としての仕事の割合が多くなっているこの頃です。
でも、この件は、今も強く私の記憶にあるものです。内容もそうですが、強硬なまでの見えない足止めを食らったケースですから。

凄く長くなってしまいましたが、最後に私は他の霊能者等を否定したりするつもりは毛頭ないのですよ。
だって・・怖いですもの・・怨まれたら・・面倒だし・・。何て・・これは少し本音です(笑)